事例検討会 事例集
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Last Update 05/02/21

■No.05 「『一緒に遊ぼう』って言えないんだ・・・」

小4男子・通常学級在籍。アスペルガー症候群と診断されている。

■計画立案

長期目標
  1. 基本的な人間関係を覚える。
  2. 自己管理能力を高める。
短期目標&指導方法
  1. 自分から遊びに誘うことができる。断られた時に一人で遊ぶことができる。
    • 休み時間や昼休みにやりたい遊びを家で考え、カードに書く。
    • 遊びたい相手を決めて誘う。「○○を一緒にしましょう」
    • 断られた時は、担任と相談して一人でできる遊びをする。
    • 友だちに嫌なことをしないで遊べた時、上記3つがうまくできた時はカードにシールを貼る。
  2. 友だちといろいろな遊びができる。
    • 週に一度、担任と共にやりたい遊びを考える。
    • 担任と共に、友だちを誘う。
    • 最後まで遊べた時にはシールを貼る。
  3. 学校の準備を自分からする。
    • 宿題が終わった時、翌日の時間表を合わせる。
    • 連絡帳を見て持って行くものや明日の内容を確認する。チェックシートを作り、目に付くところに貼る。始めの2〜3日は親が一緒に行う。少しできるようになったら見守り、声かけのタイミングを待つ。最終的には一人で。
  4. 朝の身支度をする。
    • 前夜のうちに翌日着る服を何セットか専用の箱に入れておき、そこから本人に任せ決めておく。できたらチェックシートに○をつける。
    • 朝起きてから学校へ行くまでの流れをチェックシートに沿って行う。
  5. 人前で着替える時はきちんと隠す(羞恥心を持つ)。
    • 人前では隠すものという意識を徹底させる(家族も協力する)。
    • 風呂から上がったら、脱衣所で下着とパジャマを身につけてから出てくる。
    • 学校のプール授業での着替えの時、プールタオルで隠す。

■評価 「ひとりで遊んでも楽しいってわかったよ!」

長期目標
  1. 基本的な人間関係を築く。
  2. 自己管理能力を高める。
  3. 算数の文章題を解く。
短期目標&指導方法
  1. 自分から誘うことができる。
    • 学校の休み時間や昼休みにやりたい遊びを考え、家庭でカードに書く。
  2. 断られた時に一人で遊ぶことができる。
    • 断られた時は、担任と相談して一人でできる遊びをする。
    • いくつかの選択肢を準備する(読書・絵を描く・パソコン・教師の手伝いなど)。
    • 遊び方のポイントを教え充実感が得られるようにする。
    • 他の先生方にも声をかけてもらう。
  3. 友達といろいろな遊びができる。
    • 週に一回、担任と共にやりたい遊びを考える(できそうな遊びを増やすようにする)。
    • 自分から友達を誘う(担任は常に見守っていく。介入はトラブルなどの必要時のみ)。
  4. 放課後、遊びのカードに休み時間や昼休みにしたことを記入してそれをして過ごしたときの気持ちを言葉で記入する。毎日担任と評価・反省する。

  5. 趣味や共通の話題を通じて仲間と楽しい時間を過ごす。
    • クラス・学年にこだわらず、共通の趣味や話題を持つ同年代の仲間と楽しい時間を過ごす。下校時の帰宅路を楽しむ。
    • ミュージックケアで気の合う子と親交を深める。
    • いなほの小グループ活動に親子で参加。
  6. 学校の準備を自分からする。
    • 連絡帳を見て明日の持ち物や内容を確認する。
    • 就寝時に始めていない時は「時間表は?」と声をかける。
  7. 算数の文章題のチェックリストを使用して実態を把握する。
    • 1年生から現在までの文章問題の代表的なものをリストアップして冬休みに行う。その結果からチェックリストを作成し、3学期に家庭でチェックリストの問題を解く。嫌がらない程度に。

事例検討会を終えて 〜母親の感想〜

正直言って受けさせてもらったことで、押し寄せてくるプレッシャーもありましたが事例を受けると決めた時、親も担任もこんなに子供が変わるとは想像もしていなかった。しかし、それは間違いで子供は大人がその子に合った正しい提示さえしてあげればいつでも改善していく要素を持っているということに気づかされた。もしかして事例検討というのは子供を変える為じゃなくて大人の間違いに気づく為のステージなのでは!(うん、きっとそうだ!!)素直にいなほの事例はスゴイな、と思った。
一番大きな収穫は何と言っても夫が変わった。子供の障害を正面から受けとめ、"自分の役目"というものをしっかりと認識してくれた。そしたら、今まであまり夫に寄りつかなかった子供が今ではベタベタとまとわりつくようになったのは、奇跡のように感じる程だ。夫婦で前向きに取り組めるようになったことが一番の収穫です!!