エッセイ・体験談
トップ || お知らせ || いなほの会について || 事例検討会 || リンク集
Last Update 05/11/28

■No.01 母のつぶやき


親の会に入って、さまざまな情報や講演会など、勉強する機会、そして子供の活動の場・親の話し合える場など、多くのプラスに得ることがある。でも、このような事が形となって現れる陰には、どうしたらよいか計画を立て、パソコンとにらめっこして計算機と格闘し、時には普通のおばさんが心臓ドキドキの経験などしていることを私も少し関わらせてもらい、やっと身にしみてわかった。
この仕事人は、けっして「我が子のことは、バッチリ心配ないからやってやるよ!」という人ではないようだ。皆さんと同じに我が子のことで精一杯な人―でも、我が子のためにも何かできることをしようと必死でがんばっている人。私も我が子のためにだけでなく、自分自身も成長させてもらったような気がする。貴重な体験をさせてもらった。
       しかし!仕事がこんでくると実に忙しい。
子どもに「お母さんは、自分の子どもより”いなほ”の方が大事なの!」と、言われてしまったときには、(そうだよね・・・でもね・・・)何とも複雑な気持ちだった。
       誰かがやらなくては、親の会が動かなくなってしまう!!
家族に親の会の仕事を理解してもらうのにも神経を使い、それも無報酬で悩みながらもよくやったと自分では思う。
なぜ親の会にはいるのだろうか?
情報だけがほしい人、子どもの活動の場があればいい人、子ども達の将来の発展と安定のために一人では出来ないことを力を合わせてやっていきたい人などさまざまだと思う。
主な仕事をやる人は、子どもの問題行動が目立ち、どうしようもなく支援が必要だと思う親がやれば良いと思う人がいるのかどうかわからない。子どもの状態によって親の気持ちもいろいろだろうが、
  「誰かがやればいい」「私には関係ない」ではなく、仕事人にほんの小さな思いやりの気持ちをもって「ここは、手伝えるよ」そんな言葉が自然に出てくるような親の会になったらいいなと思う。
   母のつぶやきでなく母のぼやきになったかも・・・?。

■No.02 みんなの進路

今年4月、いなほ会員のお子さんの中で進学された方は17人です。県立高校8人、私立高校2人、養護学校2人、大学1人、専門学校2人、その他2人でした。おめでとうございます。高校に入学された2組の親子の方に《本人へのインタビュー》と《親御さんの感想》をお願いしました。

本人へのインタビュー

質問1:高校入試で何が不安でしたか?
   「面接で上手くいくかどうか不安でした。」「合格できるかどうか不安でした。」
質問2:高校生活で楽しい事はなんですか?
   「友達と一緒におしゃべりする事」
質問3:電車通学の感想を教えて下さい。
   「お友達と一緒におしゃべり出来るから楽しい。」

親御さんの感想 「高校受験を終えて」

中学校生活の3年間は本当にあっという間に過ぎた3年間でした。何よりも一番辛い事の多い3年間だったと思います。しかし、受験を迎えた一年はとっても成長した年でも有ります。
私は子供への対応について勉強して来たつもりでいましたが、結局、思春期に入った娘を理屈で頭から押さえつけてきただけでした。自分を肯定できず、否定的な言葉ばかり口にしていた娘でしたが、受験を迎えて「校内推薦を受けたい」と言い、本人の気が済めばと申し込んだところ、学校が推薦を認めてくれました。娘の事を考えて対応して頂いた事を感謝しています。この事が自信につながりました。さらに、内申書に注意事項は必ず記載しなければならないと言われた事で不利になる可能性もある事を娘に伝え、どうしたいか聞いたところ「それでも自分は推薦を受けたい」と主張しました。
合格した事で娘は本当に自信を持ち、また将来の夢など話すようになりました。少しずつですが、自分を認められる様になって来たのかなと感じています。


本人へのインタビュー

質問1:高校入試で何が不安でしたか?
   「合格するかどうか。」
質問2:高校生活で楽しい事はなんですか?
   「部活・・・○○部」
   「自分とよく似た先輩がいて、漫才コンビみたいだと言われた。」
   「寒くてカップラーメンを食べた。」
   「小遣いは、おやつとプロテインで消える。」
質問3:バス通学の感想を教えて下さい。
   「朝早いバスなので眠い。ぎゅうぎゅうに詰め込まれて辛い。」

親御さんの感想 「入学して思うこと」

子供が入学して約一ヶ月、とても楽しそうに高校に行っている。この高校に決めた理由は学力の点と○○部がある事。中学にあるような部活では他の人に追いつけないが、○○部なら、皆一からのスタートなので自分でも出来ると考えたようだ。その意気込みは立派なもので、仮入部も始まらない入学式の翌々日から入部して部活中心の毎日だ。勉強するのはバスの中だけだそうだ。ゴールデンウィークは捻挫をした為、不本意ながら休むことになったが、親としては少しは体を休めてくれればと思っている。
小学校のマラソン大会でグランドを泣きながら歩いて先生方に羽交締めにされ連れ出された頃を考えると「人は変わる」と、つくづく感じる。中学生活の中で自分にも人より出来る事がある、人の役に立ちたいという気持ちが生まれたのが変わるきっかけだったと思う。その頃から徐々に自分の意思を持って進み始めた。親の私も子供を常に心配している生活から抜け出す事ができ、とても楽になった。苦しくしていたのは私自身で、私の心の持ちようで変える事ができるのにいつも不安を抱えていた。子供も息苦しく感じていたと思う。今は子供と気持ちよく距離をおいている。相変わらず口うるさくしているけれど、なんだか気楽にやっている。
最近は、学校での色々な話をよく聞かせてくれる。自分の頭の中だけの狭い想像の世界では、話の内容も心の中の話ばかりで聞いていても楽しくなかったが、今は話の内容も生き生きとして聞いて楽しい。登場する人物がゲームのキャラクターから、先輩や級友になったのが嬉しい。就労が気懸かりではあるが、生き生きしている子供を見ていると高校生活の中で自分のやりたいことを思うままに精一杯やって欲しい。将来のことも大切だけれど、今を充分に生きて欲しいと思っている。

■No.03 報告 「日本LD学会に参加して」---代表


去る8月27日(金)・28日(土)に第13回日本LD学会が成蹊大学で開催されました。
1日目は、「少年院におけるLD・ADHD等の軽度発達障害児の心理的特性」の自主シンポジウムに参加してきました。たとえば、宇治少年院では今年から矯正教育の中で"出院前の院生の保護者への働きかけ"として【気づき】の場を提供するペアトレーニングが始められました。それは、教官と保護者そして本人が同席して行うワークショップ形式で実施されます。保護者には、【子どもの成長・子どものニーズへの気づき】が得られるような【新しい親子関係の確立】を目指しているそうです。このシンポジウムでは、保護者は子どもと共に成長し変わらなければならないと改めて思いました。
2日目は、親の会の企画シンポジウムで社会参加に向けた支援を考えると題して、副会長の内藤さんから昨年度実施された<18歳以上のお子さんを持つ保護者と本人へのアンケートの結果>が報告されました。義務養育終了後、ほとんどのお子さんが高校に進学し、半数以上のお子さんが大学・専門学校へ進学していますが、その後の自立・社会参加への移行はなかなか厳しいという内容でした。内藤さんからは、本人の適正やニーズに応じた個別移行支援計画の必要性と就業・自立のための、生涯を通じた生活全般にわたる支援体制の整備・拡充をしていくことが必要であるという指摘がありました。
<本人のトークセッション>では、20代後半の3名の方がお話をしてくださいました。お話を聞いていて身に詰まされたり、親として考えさせられたりしましたが、なによりも3名の方が自分の特性を理解し自分の言葉で説明し、自分の困難さを自分で工夫して生活していることに感心させられました。

■No.04 報告 「新潟障害者職業センター訪問」


10月19日(火)12人で訪問しました。
私は以前にも障害者職業センターを訪問させていただきましたが、以前と違って最も目を引いたのはワークトレーニング社のシステムの多様化です。以前見学させていただいたときには、どの実習生も同じ作業内容で(そのときはボールペンの組み立てと分解)単調な日程でした。しかし今は、実習生の状況や目的に合わせて受講期間やカリキュラムを決めているそうです。作業の種類も増えているようでした。午後には面接の練習、履歴書の書き方などの講座や基本的なルールや態度、職場での対人関係の取り方を身に付けさせる為のロールプレイ、グループミーティングの時間などが取り入れられていました。
とにかく就労するのには基本的なルールや作業態度などたくさん大事ことがあります。それをどう身に付けさせるか・・・親にとっても大変なハードルだなと感じました。その他、「知的障害の判定書」「ジョブコーチ」についても詳しくお聞きすることができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。

■No.05 卒業そして新生活へ 親御さんの感想 「進路が決まるまでそして今思うこと」

早いもので今年も卒業や就職のことが話題になる季節になりました。会員の子どもさんの中にもすこしずつ進路が決まり、新生活への準備が始まっているようです。今回は、高校卒業後進学することが決まったお子さんの親御さんに感想をお聞きしました。
05/01/17掲示


冬の初めの頃、この原稿依頼を受けた時には、既に進路が決まっていた安堵感があり悠長に考えていた私でした。しかし、18年間の子育ての間での辛い思い出、迷い、葛藤、そしてそれらを乗り越えた時の喜びなどが頭をよぎり、なかなか書けずとうとう大晦日を迎えペンを取っています。
高2の終わりごろ、進学か就職、どちらかを選択するときに、本人は何か学びたいが何を探してよいか分からず迷っていましたが、夫から「我が子にはもう少し社会性を身に付けるために4年間の執行猶予を与えたい!」と強い意見がありました。本人は「それでもいいかー」の調子で学校選びが始まりました。しかし、高校生活では好きなことをさせたいとの思いで進学コースではなく実技コースを選択していたため、入試対策が全くできていないことが難題でした・・・。でも、「前進あるのみ!」の気持ちで春の頃からオープンキャンパスに参加したり、前向きな気持ちで学校選びを開始しました。幸い親子で見学に行った学校の感触がよかったらしく、本人の特性を生かした「技能工芸学科」で学びたいとの意志が強く現れました。担任と相談の結果、AO入試(自己推薦入試)でチャレンジする方法をとりました。
我が子の高校生活を振り返ってみると、テスト前日のみの勉強、学校では部活、家ではゲームと読書、色気なし、洒落っ気全くなしの3年間でした。しかし、ひとつだけほめたたえたことは、書くことと自己表現が苦手と小さい頃から言われ続けていた我が子が、何回も担任から手直しされながらもくじけず何時間もかけて入試の自己推薦文を書き上げたことでした。
口うるさい「添削母」もこれで任務終了と思いつつ、まだ心配がないわけではありませんが、来春から始まる県外での寮生活・学生生活を見守っていこうと思っています。

■No.06 「スペシャルオリンピックスに参加して」

いなほの会会員の高校2年生のお子さんが、今年、日本で初めて開催された"スペシャルオリンピックス"に参加し見事メダルを獲得されました。おめでとうございます。オリンピックに参加した感想を寄せていただきました。
05/03/23掲示


このたび、高校2年の息子がスペシャルオリンピックス(SO)に参加することができました。運動が苦手な息子に、練習の場とそれを発表する機会を与えて下さった、SO関係の皆様、特に柏崎のFコーチには感謝の気持ちでいっぱいです。
我が家では、冬のスポーツ(スキーやスノボーなど)に行くことはほとんどなく、まさか自分の息子がクロスカントリースキーをすることになるとは、夢にも思っていませんでした。家ではゲームばかりしていた息子が、今回参加することにより「ひとまわり成長して大人になったね!」と練習をずっと見てきてくれたボランティアの人にも言われ、うれしく思っています。これからもなんらかのかたちでスポーツを続けてほしいと思っています。
自分の居場所が見つけられる、普段の練習がSOです。この大会への参加により、発達障害の子どもたちの理解が少しでも深められることを望んでいます。そしていなほの子どもたちも気軽に参加できるようになればよいかと思っています。
また、新潟市には、ボーリング・バスケット・卓球・バトミントン・陸上の5種のスポーツプログラム委員会があります。興味のある方は、問い合わせてみて下さい。

お子さんの感想

ぼくは生まれて初めての体験に恵まれました。この二週間、家から離れてぼくより障害の重いダウン症の人、そしてボランティアの人と接してとても楽しかったです。ぼくは、一生懸命応援をしてチームワークを感じました。学校と違ってみんなと気軽に話ができました。とても楽しいSOでした。

■No.07 「親支援プログラム」受講の感想

5月30日〜7月16日にかけて計4回、新潟大学付属養護学校において、長澤先生の講座が開催され、参加された方から感想をいただきました。
05/11/28掲示


今回、「親支援プログラム」の参加にあたり、4回全部出席が条件で、家族の協力なくしては無理でしたが、無理をしてでも参加した甲斐がありました。
講座2回目の「自分で解決する」の中で、提示された子どもが子どもの目線で考えて書き込むというチェックリストを自宅で子どもにさせてみたところ、本人も「頭の中で考えているよりわかりやすく、いい!」といい、我が家にとって何か事が起きた時、このチェックリストを使用すれば、より最短距離で問題解決に結びつく糸口が見えるのではという確信を得ることができました。今までは割と、話し合いという形で「その時はどうしたらいい?」「どうしなければいけなかった?」を本人の口で語らせていましたが、本人が書くことにより、冷静に自分のことを見つめ、どうしたらいいのかと問題解決に向き合う姿勢ができるように感じました。
長澤先生の講義の中で「自ら解決しようと意志のある子は、解決できると言われている」とおっしゃられたことが私の心に強く響き、親子で力を合わせ、より生きて行きやすい状況を作っていきたいと思いました。個別指導計画の立て方を学ぶ良い機会に恵まれたことに感謝したいと思っています。今現在、かなり効果が出ているので、講座最後の評価の時に、良い結果が出せるといいなぁ・・・と、思っています。


小学校の高学年になり、学校での生活にも慣れてくるにつれて、トラブルなども少なくなり、日常生活についても、今の状態を当たり前のように感じているところがありました。
今回参加して、忘れかけていた「ほめる」という、我が子に対して一番大切な言葉や、「トークン」を使って、一人でできることを増やしていくなどの指導方法を聞き、今まで口を開けば叱り、手が掛かるから、親がやってしまっていた事の多かった事に気付き、反省しました。
今、我が子は以前より笑顔の日が多いような気がします。これからも、まだまだつまずく事や問題は多いかもしれませんが、いろいろ対応していきたいと思います。
大変勉強になるお話やご指導ありがとうございました。