事例検討会 事例集
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Last Update 05/06/14

■No.07 「これでいいんだよね?大丈夫だよね?」

中2男子・通常学級在籍。高機能自閉症と診断されている。

■計画立案

長期目標
  1. 自己管理能力を高める。
短期目標&指導方法
  1. 学校でのスケジュールを自分で管理する。
    • 担任とスケジュールを作る意味について話し合う。
    • 休み時間をどのように過ごすか、体験させて本人に選択させる(一人で行かせない。担任と一緒に)。例:ノートに絵を書く(誰もいない部屋で)、図書館、相談室 etc.。
    • スケジュール消去法。終わったものから消していく。そして学級担任のチェックを受ける。
  2. 声掛けなしで朝登校する。
    • 「起床」「着替え」「登校」の時間を本人との話し合いで決め、朝のスケジュール表を作る。本人がスケジュール通りできたら、自分でチェック印を付けて確認する。
    • 親の声掛けの方法を本人に選択させる。
      1.時間になったらキッチンタイマーを鳴らす。
      2.母親が時刻を本人に伝える。
      3.母親が時計を指差す。
    • 声掛けの方法を本人が選択できない時は、それぞれの方法を体験させてから選ばせる。他は口を出さない。

スーパーバイザー 長澤先生のコメント

アスペルガーの人たちは知識があり、まじめでひたむきな姿勢が強いです。しかし、自分が所有している知識をうまく使えず、焦ったり、パニックになったりします。所有している知識をいかに実用的に使うか、あるいは実用的な知識やスキルをいかに獲得させるかが重要なことだと考えます。スケジュール表やチェックリストは、そういう彼らにとって、役に立つ道具だといわれています。自分で評価して、ポイントがある程度たまったときには、何かご褒美をあげてもいいと思います。ご褒美がもらえるポイント数を、あらかじめ話し合って決めてみて下さい。

母の想い 〜事例検討会を終えて〜

わかっているつもりでも、わかっていない事がたくさん。今回、私と彼が密接につながり過ぎていた事に初めて気付きました。これからどうやって子離れしていこうか思案中です。


■評価 「もう確認しなくても大丈夫!」

長期目標
  1. 自分に自身を持って行動する。
短期目標&指導方法
  1. 学校では活動や作業をした時にほめる(言葉をかける)。
    • 担任や、活動・作業を見ていた先生がその時々にほめる。
  2. 両親が子供と過ごす機会を多くする。
    • 1ヶ月の予定を家族で話し合いスケジュールを立てる。大きなカレンダーに家族の予定を書き込み、ひと月の見通しを持たせる。
    • 家族で体験したことを団欒の場で話す。
    • 週、どれくらい団欒の場ができたかをチェックする。
  3. 子供をほめる言葉を多くする。
    • ほめた回数を毎日チェックする。
    • 子供にとっていやな言葉、反抗すると予想される事に対して、親も言葉を(対処を)用意しておく。

事例検討会を通して 〜母親の感想〜

今回評価だけでは上手くいった様に見えますが、実際は家庭での個別指導計画は何度も子供とぶつかり、話し合いをしました。1日の見通しを立てるためスケジュール表を作りましたが、上手くいかず親子共々スケジュール表が重荷になっていきました。親が必要だと思ったことが子供には本当は必要ではなく、スケジュールにしても子供は頭に入っているのに私はいつまでも時間だけにこだわっていました。話し合いにしても親の意向が強かったと思います。子供は本当に自分に必要だと思わない限り動きません。私が気にすると自然に口数も多くなり、子供と良い関係にはなりませんでした。上手くいくようになったのは、表から時間を消した事、私が仕事へ行く時間が早まり、子供にかまっていられなくなったのが良かったようです。子供がとても成長しているのに私が子供から手を引いていけなかった事がよく分かりました(母が特に強く感じたこと)。
夫婦では、子供を誉めて自信を付けさせようとやって来たのですが、まだまだ誉め足り無いし、言葉がけが足りない、親の気持ちに影響されてきたなと思いました。
今回の評価で長澤先生から子供が自信を持って行動(話して)して見えるのはどんな時ですかと質問されました。その時の反省ですが、親は子供のマイナス面ばかり気にしてしまいがちです。子供のプラス面をいっぱい見つけておきましょう。何気ない日常の事が自信の現われになっていることが分かります。私は情けない事にその時は気付けませんでした。
子供は今進学や職業に付いて気になっています。そのことで父親と一緒に話をする時間が多くなってきました(専門的な話もあり、男同士で…)。真面目に将来を考える子供の気持ちを大事にしていきたいです。